錆びる世界

僕の住む町には老人が多い。
ここも老いてゆく町だ。今日もひとつ葬式があった。
年寄りが死んだあとには何も残らない。戦前からある、朽ちかけた屋根はやがて壊され、駐車場になるかマンションが建つ。
歴史と何一つ脈絡の無い風景だけが残る。
何も遺らない。
>そこは本当にあなたが住む世界の一部でしかないんだよ
そういう意識を与えられることはもう救いにはならないような気がする。
世界とワタシは鏡のように向かい合わせなのに、全てが絶望的に違う。
だから問いかけは終わらない。ねぇ、僕は本当にママの子供なの?
失われるのは物語で子供達は皆いずれ猜疑心の果てに血縁を拒絶する。
その頃には一人で生きることも淋しくなくなっているかな。
だったらいいのに。